「住宅ローンの金利が上がってきたから、今は家を買わないほうがいい」
そんな話を聞くことが増えてきました。
確かに、住宅ローンを利用して家を購入する場合、金利が上がれば毎月の返済額や総返済額に影響します。
では、金利が上がる時代には、家を買うより賃貸住宅に住み続けたほうが得なのでしょうか?
実は、そうとも言い切れません。
なぜなら、住宅ローンの金利だけで「買う・借りる」を判断するのは、少し片手落ちだからです。
目次
金利が上がると、確かに「買う」側には負担が増える
まず、これは間違いありません。
住宅ローンの金利が上昇すれば、特に変動金利を利用している場合、将来的な返済負担が増える可能性があります。
住宅金融支援機構も、金利上昇時には返済額が増えても家計を圧迫しないか、あらかじめ確認することが重要だとしています。
例えば、3,000万円を住宅ローンで借りる場合。
金利が低いときと高いときでは、同じ3,000万円の家でも、最終的に支払う金額は変わってきます。
「金利が上がるなら、買わないほうがいいのでは?」
そう考えるのは自然なことです。
しかし、ここで一つ考えておきたいことがあります。
賃貸なら金利上昇の影響を受けない?
「賃貸なら住宅ローンがないから、金利上昇は関係ない」
これは半分正解で、半分違います。
確かに、入居者自身が住宅ローンを借りていなければ、銀行から直接金利上昇の影響を受けることはありません。
ところが、賃貸住宅を所有しているのは大家さんです。
大家さんが賃貸住宅を建てたり購入したりする際に、金融機関から融資を受けているケースもあります。
金利が上昇すれば、大家さん側の借入負担が増える可能性があります。
もちろん、金利が上がったからといって、その分がすぐ家賃に上乗せされるわけではありません。
家賃は周辺相場や需要、物件の立地などにも左右されるためです。
ただ、金利上昇=購入だけが影響を受ける、というわけではないことは知っておきたいポイントです。
実際、2026年は住宅ローン金利だけでなく、家賃も含めて住居費全体を考える必要性が高まっています。
「家賃は変わらない」と考えるのも危険
賃貸住宅の大きなメリットは、購入に比べて初期費用を抑えやすく、転勤や家族構成の変化にも対応しやすいことです。
一方で、賃貸には一つ大きな特徴があります。
家賃を払い続ける必要があることです。
例えば月8万円の家賃なら、
8万円 × 12カ月 = 年間96万円。
10年間住めば、単純計算で960万円です。
さらに20年なら1,920万円。
もちろん、この間ずっと同じ家賃とは限りませんし、更新料や引っ越し費用などが発生する場合もあります。
つまり、
「住宅ローンは金利が上がるから怖い」
と考える一方で、
「家賃はこれからもずっと同じ」
と考えてしまうのも少し危険なのです。
家を買うと「ローン以外のお金」もかかる
もちろん、購入にも注意点があります。
家を買えば住宅ローンだけでなく、
- 固定資産税
- 火災・地震保険
- 修繕費
- 外壁や屋根などのメンテナンス費用
- 購入時の諸費用
などが必要になります。
「ローンを払い終われば全部タダ」というわけではありません。
そのため、賃貸と購入を比較するときは、住宅ローンの返済額だけではなく、住み続けるために必要な総額で考えることが大切です。
それでも「買う」ことには大きなメリットがある
では、金利が上がる今、家を買う意味はなくなってしまったのでしょうか?
もちろん、そんなことはありません。
持ち家には、賃貸にはない大きなメリットがあります。
それは、住宅ローンの返済が終われば、その家を自分の資産として残せることです。
もちろん、家の価値が将来どうなるかは立地や建物の状態によって変わります。
しかし、賃貸では何十年家賃を払い続けても、その部屋そのものが自分の資産になるわけではありません。
特に、
「この地域に長く住む予定」
「子どもの学校や生活環境を変えたくない」
「老後も住む場所を確保しておきたい」
という人にとっては、持ち家を選ぶ意味は大きくなります。
「毎月いくら払うか」だけで決めない
住宅購入を考えるとき、どうしても、
「住宅ローンが月○万円だから、今の家賃より高い」
という比較をしてしまいます。
でも、本当に比較したいのはそこだけではありません。
例えば、
賃貸の場合
家賃
+ 更新費用
+ 引っ越し費用
+ 駐車場代など
購入の場合
住宅ローン
+ 固定資産税
+ 保険
+ 修繕費
というように、長期間住んだ場合の総額で考える必要があります。
さらに購入の場合は、ローン返済の一部が住宅という資産に変わっていくという違いもあります。
だからこそ、「月々の支払い」だけで判断すると、本当のコストが見えにくくなります。
金利が上がった今だからこそ、冷静に比較したい
金利が上がると、
「今は家を買うタイミングじゃない」
という気持ちになりやすいものです。
しかし、金利だけを理由に購入を先送りして、その間に家賃を何年も払い続けることになれば、必ずしも得とは限りません。
一方で、金利上昇を無視して無理な住宅ローンを組むのもおすすめできません。
大切なのは、
「買うか、借りるか」ではなく、「自分たちの場合は、どちらが無理なく暮らし続けられるか」
を考えることです。
金利が上がったから「賃貸が正解」とは限らない
金利上昇によって住宅ローンの負担が増える可能性はあります。
だからといって、
「金利が上がった=家を買わないほうがいい」
とは限りません。
賃貸には、住み替えのしやすさや初期費用の抑えやすさというメリットがあります。
一方、持ち家には、長く住むことで住まいを資産として残せることや、住宅ローン完済後の住居費負担を抑えられる可能性などのメリットがあります。
そして、家賃も物価や建築費、人件費、賃貸市場の状況などによって変化します。2026年時点でも、家賃と住宅ローンの両方を含めて住居費を考えることが重要になっています。
金利が上がった今だからこそ、「家を買うのは損」と決めつけるのではなく、10年、20年先まで含めて賃貸と購入を比較してみる。
それが、後悔しない住まい選びにつながるのではないでしょうか。




